おしらせ

未来へのメッセージ 八代東場バドミントン部監督・権藤浩二氏(S32回卒)

[2016-11-24]

敵は自分自身の中   (毎日新聞掲載)

県立八代東高バドミントン部監督・権藤浩二さん(54)

<教え子が日本のバドミントン界の第一線で活躍し続けている>

八代東高に赴任して2年目、後にアテネ、北京の両五輪に出場(北京では5位入賞)する大束忠司(おおつかただし)さん(38)=日体大准教授=が入学してきました。彼は長崎県出身ですが、実は私の現役時代、強豪だった大束さんの父親と2度対戦しています。そうした縁の中で「忠司を任せる」と預けてくださった。ロンドン、リオデジャネイロの五輪でも、卒業生があと一歩で出場できるところまで行きました。

<自身もバドミントンで強くなりたくて、八代二中から九州学院に入学した>

西田淳二郎先生(故人)に率いられて全国レベルの強豪校でしたが、部員は6人の小所帯でした。西田先生は元々柔道の選手で、大学でバドミントンを始めて母校の監督を務めるという異色の方でした。私は3年間、西田先生の自宅近くに下宿したのですが、そこには寝に帰るだけ。朝食、夕食、風呂は西田先生宅でお世話になり、昼の弁当も作ってもらっていました。

<練習で技術的な指導は主にOBがしてくれた>

部員6人に対して、10人ぐらいのOBが付き合ってくれました。しかも九学はいろいろなスポーツが強かったので、同じ教室に別の競技で全国クラスの選手がいたことも刺激になりました。おかげで全国高校総体の団体で県勢初優勝の他、シングルスとダブルスでも優勝するなど自分でも驚くほどの結果を出すことができました。

<西田先生は厳しかった>

勝負に対する心構えや人としてどうあるべきかをたたき込まれました。ちょっとでも気を抜いたり、相手をなめたプレーをしたりすると、許されませんでした。教師の道に進んだのは西田先生の影響だと思います。八代東高に転任し、自分自身が現役選手を引退して指導者に専念する中で、預かった生徒たちを10年近く自宅に下宿させていたのも西田先生ご夫妻への恩返しだと思っています。

<リオ五輪でも日本選手が活躍し、バドミントンへの注目は高まっている>

熊本県は九学など強豪校が多く、選手層は厚い。特に高校時代の一年一年は、選手の成長にとってとても重要。指導する側もそれをしっかり自覚していないといけない。

<どんな選手を育てたいか>

試合で最後まで諦めない気持ちを持ってほしい。自滅するプレーヤーにはなってほしくない。私自身いつも敵は相手よりも自分自身の中にいると思っています。西田先生の魂をどれだけ受け継げるか。そしてさらにこれからの世代もそれを受け継いでいってほしい。【笠井光俊】


■人物略歴

ごんどう・こうじ

八代市出身。九州学院高2年の時、全国高校総体で団体・個人単・複の3冠。翌年も個人単・複で連覇。卒業後、日体大でも全国学生選手権の団体などで優勝。体育教師となり県立第一高、芦北高で指導する傍ら、選手としても国体成年男子で優勝。1992年から八代東高に移り、全国高校総体の団体や個人戦で複数回、優勝に導いた。

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