おしらせ

未来へのメッセージ 福田病院理事長・福田稠氏(S18回)

[2016-09-07]

197507_orig.jpg敬天愛人:九州学院105年・未来へのメッセージ

「燃えたぎる野心持て」

毎日新聞 2016年08月07日 

福田病院理事長・福田稠さん(S18回)

<2度の大地震の対応に追われた>

 水とガスがストップしました。安全確保と不安解消のため入院中の方は1、2階にマットを敷いて過ごしてもらいましたが、全国から水やおむつなどの支援物資が届き、医師や看護師、助産師、学生らボランティアの存在に支えられました。4月18日には外来診療や手術を再開できたので多くの人の支えが本当に心強かったです。

<地震の不安にも負けず、多くの赤ちゃんが誕生した>

 14日の前震から16日の本震まで計26人が生まれました。本震の時に分娩(ぶんべん)中のお母さんは2人。スタッフの笑顔に癒やされたとの声もいただきました。

<日本で最も多くの赤ちゃんが生まれる病院として有名です>

 ママや家族にとって魅力的な病院にしていこうという思いが根底にあります。熊本弁で言うなら私は「わさもん」です。新しい物好きと言います。一新小学校(熊本市中央区新町)の時からボーイスカウトの活動をしていました。ただ、当時は乱暴者でしたよ。伝統を重んじるキリスト教系学校なら性格が落ち着くはずだと九州学院中学を経て九州学院高校に進学しました。

<聖書や賛美歌を学ぶ敬愛会や英会話部に所属し海外経験も重ねた>

 理事長の長岡立一郎さんらが同級生でした。高校には当時珍しい外国人の英語の先生もいました。1年の時にボーイスカウトの活動でギリシャやドイツ、フランスなど欧州で約2カ月間交流。高校3年時はハイカラで豊かな生活を送っている米国への憧れからニューヨーク州の公立高校に1年間留学しました。世界が広がった。投票権は無いのに高校で「クリントン氏を支持する」「私はトランプ氏」というふうに大統領選に合わせて投票した。

<海外経験を病院経営に生かす。木目調で陣痛から出産、回復までを家庭的な雰囲気で過ごせる「LDR」をいち早く整備した>

 公立病院と同じような経営をしていては太刀打ちできない。新しいことをしなきゃいけません。米国のお産は家族中心です。夫立ち会いや妊婦水泳などが新鮮でした。1981年に福田病院に入ってから順次導入しました。米国は自宅にプールがありますが、日本では難しいので病院にプールを作り、良質の食事をしてもらえるようレストランもあります。人生の大切な一ページを刻む女性たちに上質な医療や食事、住環境で快適に過ごしてほしい。海外の取り組みを日本に合うように修正し病院内家庭分娩を充実させています。

<夢を持つ大切さを訴えている>

 今に見てろよという気概ですね。燃えたぎる野心を持ち、若い頃の苦労をストレスと思わず、買ってでもしてほしいです。【柿崎誠】


 ■人物略歴

ふくだ・しげる

 九州学院高校を1966年卒業。熊本大大学院修了。国立熊本病院勤務後、81年に福田病院院長。2010年から県医師会長。年間約3400人の赤ちゃんが誕生する出産数日本一の病院といわれる。